歯周病ってヤバイ?【歯周病の段階と治療について】
こんにちは。
大阪市北区 南森町 増田歯科矯正歯科で理事長をしております歯科医師の増田です。
皆さんは”歯周病”ってどんな病気か知っていますか?
ー 茎が腫れてブヨブヨになる??
ー 口臭がきつくなる??
実は、歯周病の怖いところはそれだけじゃないんです!
今回の記事では、そんな「歯周病」の段階や治療について解説していきます。
1,「歯周病」ってどんな病気?
2,症状に段階がある!
3,歯周病の治療について
4,予防するには?
5,まとめ
1,「歯周病」ってどんな病気?
歯周病は、歯茎やその周囲の口腔組織に炎症を引き起こす口腔疾患です。
お口の中にはおよそ400~700種類の細菌が住んでいます。
細菌といっても必ずしも全て悪なわけではなく、健康で清潔な状態ではあまり悪いことをしません。
しかし、セルフケアが充分でなかったり、糖を過剰に摂取したりすると
これらの細菌がネバネバした物質を作り出し、歯の表面にくっつきます。
これを歯垢(プラーク、バイオフィルム)と言い、粘着性が強いため軽くうがいをした程度では落ちません。
歯垢(プラーク、バイオフィルム)は取り除かなければ硬くなり、
歯石と言われる物質に変化し歯の表面にさらに強く付着してしまいます。
歯垢はセルフケアでも落とすことができますが、歯石になってしまうと自力で落とすことは難しくなってしまいます。
そして歯周病の主な原因は、これらの汚れ(歯垢や歯石)を住み家として歯周病菌が繁殖することです。
歯周病は歯周病菌による「感染症」なので、一度かかってしまうと唾液を介して
家族や友人、恋人などの身近な方に移してしまう可能性があるほか
いくら腕のいい治療者でも完全に菌を排除することは難しいため、治療後も再発のリスクがあります。
また、風邪などと違いいつか自然にに治るものでもなく
一度歯周病菌によって歯茎が炎症をおこすと、その後徐々に病気が進行していきます。
進行が進むにつれて、歯茎の出血、腫れ、歯のぐらつきが起こり
最終的にはは歯を失ってしまうことにもにつながる可能性があります。
2,症状に段階がある!
歯周病を診断する際に歯科医師や歯科衛生士が診るのが「歯周ポケット」とよばれる歯と歯茎の隙間の深さです。
健康な状態では歯石の蓄積や歯茎の炎症がないため1~2mmと診断される歯周ポケットですが、
症状が進行するにつれてその深さも値が大きくなっていってしまいます。
歯周病は一般的に、この歯周ポケットの深さを参考に軽度から深刻な段階の重度まで程度がわけられていて、
それぞれ以下のような主な種類や症状があげられます。
⓪健康な歯茎(~2mm以下)
薄いピンク色の歯肉。
歯と歯の間に歯肉が入り込んで弾力があります。
歯肉が引き締まっているので、通常のブラッシングでは出血しません。
①歯肉炎(3~4mm)ー軽度
歯垢や歯石の蓄積により菌が増えて歯茎が炎症し、出血や腫れが起きている段階です。
歯茎の色は健康な状態と比べて、少し腫れぼったい赤色になります。
この段階では歯を保持する組織にはまだ損傷がありません。
ブラッシングや歯石取りで出血がみられることもあります。
②慢性歯周病(4~6mm)ー中等度
歯周炎が進行し、歯茎の炎症が深刻化している状態です。
歯茎の色は、炎症により腫れて赤黒くなってしまいます。
歯周ポケット(歯茎と歯の間のスペース)がさらに深くなり、歯を支える組織への損傷が進行します。
この歯周ポケットが深くなることで、歯が長くなったように見える場合も多いです。
また、出血・腫れ・冷たいものがしみるといった自覚症状が出てくるほか、歯が少しぐらつくこともあります。
歯周病菌が発する特有のにおいによって、口臭がきつくなってしまい
家族や身近な方に指摘される方もいらっしゃいます。
③進行性歯周病(6mm~)ー重度
さらに進行が進むと、歯を支えている周囲の骨が溶け
・歯根の露出
・歯のぐらつき
・強い口臭
・痛みや出血
・膿が出る
などの症状が引き起こされます。
炎症の進行とともに骨が無くなるため、虫歯になってなくても歯が抜け落ちてしまうリスクも高い状態です。
3,歯周病の治療について
では、もし歯周病を発症してしまった場合はどのような治療を行うのでしょうか?
歯周病の治療は、程度に応じていくつかのステップがあります。
①検査・診断
まずは現在の歯茎について状態を把握していきます。
レントゲンを撮影し骨の状態を観察するほか
プローブと呼ばれる専用の器具で歯周ポケットの深さを測定し診断をおこないます。
②歯石とり
スケーラーと呼ばれる専用の機会で、歯茎の上(歯肉縁上)についている歯石を取っていきます。
歯周病の原因となる歯石や歯垢を落とすため、健康な方にとってはこれが予防処置となります。
健康な場合は歯茎が引き締まって弾力もあるため痛みや不快感を感じることはありませんが、
歯茎に炎症がみられる場合は出血やしみ、痛みを感じる場合もあります。
お痛みを感じた場合は我慢せず担当の歯科医師や歯科衛生士にすぐにお伝えください。
③歯石とり後の再評価
健康な方は②までのステップで完了しますが
①の診断で歯肉炎や歯周病を診断された場合は歯石とりの1週間後以降に
もう一度歯医者さんへきてもらい、再評価をさせていただきます。
再評価(歯周精密検査)では歯茎の状態について細かい歯周ポケットの深さやぐらつきなど
さらに詳しく見ていきます。
この検査の結果をもとに、歯科医師や歯科衛生士が歯周病治療の計画を立てていきます。
④歯周病治療
歯周ポケットの内側にある歯石や炎症を、専用の器具で取り除く治療です。
歯と歯茎の間(歯周ポケット)に付着した汚れや炎症をしっかりと取り除くことで、
歯茎の回復や進行の防止をおこないます。
炎症が大きく痛みを伴うことが予想される場合は
表面麻酔や局所麻酔をした上で治療をしていく場合もあります。
⑤再評価
歯周病治療によってどのくらい炎症が落ち着き歯茎が回復したかを検査します。
軽度の歯周病の方は問題なければ定期的なメンテナンスへ移行しますが、
中〜重度の歯周病の方で、更に治療が必要なに対しては次の歯周外科治療を行います。
⑥外科手術(フラップ手術・再生療法)
重度の歯周病や歯周病性膿瘍の場合、歯周病治療のみでは完全に回復することは難しく
歯周ポケット内の細菌や感染物質を取り除くために歯科手術が行われることがあります。
この手術は完全無痛下でおこない、
歯茎を持ち上げて歯周ポケットを浄化して組織の回復を促します。
当院では歯周ポケットの浄化や膿の除去に加え
リグロスやエムドゲインといった特殊な薬剤を用いた
歯周病によって失われた歯を支える骨の再生療法を行うこともあります。
4,予防するには?
このように、歯周病は歯と歯茎の周囲の組織に影響を与える感染症で、進行すると歯を失う怖い病気です。
しかし、適切な予防策を取っていれば、予防することも可能です。
ポイントは、お口の汚れ(歯垢・歯石)をためないこと。
3つに分けた重要なポイントを紹介します。
①正しい歯磨きの習慣
歯周病は歯の汚れが原因で引き起こされるので、歯磨きは日常生活において重要な歯周病予防策の一つです。
自分に合った歯ブラシや歯磨き粉を使用し、丁寧に磨くことが大切です。
特に、歯と歯茎の境界部分や奥歯の裏側などの歯ブラシが届きにくい箇所には注意を払いましょう。
② 正しい歯間ブラシやフロスの使用
実は歯ブラシのみのお掃除では全体の汚れの6割程度しか落とせないこともわかっています。
歯間ブラシやフロスを効果的に使用し、歯と歯の間の隙間や歯茎と歯の接触部分にある
歯垢や食物のかすみを取り除くことで全体の汚れの8割程度までセルフケアで落とすことができます。
③定期的な歯科検診とクリーニング
それでもセルフケアのみではすべての汚れを完璧に落とすことはできません。
定期的に歯科衛生士によるプロケアを受けることで、
歯垢や歯石をきれいに除去して歯周病のリスクを低くすることができます。
また、歯周病は軽度の場合、自覚症状なく進んでいることも少なくありません。
定期的な検診を受けて、早期発見・早期治療を行いましょう。
歯周病は予防が可能な疾患であり、適切なケアと定期的な歯科検診でリスクを低減できます。
日常生活での歯の健康に対する意識と正しいケア習慣を身につけましょう。
5,まとめ
歯周病は自覚症状なく進行し、他人に移したり歯を失ったりする感染症です。
しかし、お口の汚れをコントロールすることで防げる病気でもあります。
定期的に歯医者さんに通院して、検診や早めのケアを行い
私たちと協力してお口の健康を守りましょう!
ご予約はこちらから
お電話(0663521187)でも承ります。
歯周病は予防できる!
正しいケアと症状が出る前の早めの受診をお願いします!
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大阪市北区東天満1-11-9 101
理事長/院長 増田智基
(参考、出典:日本臨床歯周病学会)