【防災グッズ 必要なもの】災害時でも健康を守るために歯科が伝えたい口腔ケア対策
こんにちは。
大阪市北区 東天満 地下鉄南森町駅・JR大阪天満宮駅からすぐにある 増田歯科・矯正歯科です。

地震や台風、大雨など、日本ではいつどこで災害が起きても不思議ではありません。
「防災グッズは一応そろえている」「最低限は準備している」という方も多いのではないでしょうか。
一方で、非常食や水、懐中電灯などは準備していても、「お口のケア」まで意識して備えている方はまだ少ないのが現状です。
災害時は断水や避難生活などにより、普段通りの歯磨きや口腔ケアが難しくなります。
しかし、お口の中の清潔が保てない状態が続くと、虫歯や歯周病だけでなく、全身の健康にも影響を及ぼすことがあります。
今回は、防災グッズとして本当に必要なものに加え、歯科の視点から「ぜひ備えておいてほしい口腔ケア用品」や「災害時でもできるお口の守り方」について、わかりやすく解説します。
いざという時に「知っていてよかった」と思える内容を、今のうちに一緒に確認しておきましょう。
目次
1,なぜ災害時に口腔ケアがそこまで重要なの
災害時は、避難生活や断水、生活リズムの乱れなどにより、どうしてもお口のケアが後回しになりがちです。
しかし、実はこの「ケア不足」が、後々大きな体調不良につながってしまうことがあります。

①虫歯や歯周病のリスクが上がるのを防ぐ
災害時は衛生状態が悪化しやすく、特に水不足や避難生活が続くと、口腔内のケアがおろそかになりがちです。
避難生活が長期化することで、歯垢や歯石の蓄積で菌の繁殖がすすみ、虫歯や歯周病のリスクが大幅に高まってしまいます。
これらの病気はお口の中だけでなく全身の健康にも影響を与え、栄養不足やストレスで免疫力が低下している避難生活では、さらに悪化してしまう可能性があります。
特に、歯周病の炎症が進行すると、細菌が血流に乗って全身に広がり、感染症のリスクを増加させる原因にもなります。
②誤えん性肺炎の発症を防ぐ
誤えん性肺炎とは、お口やのどにいる細菌やウイルスが食べ物や唾液と一緒に気管から肺に入り込むことで、肺に炎症がおきてしまう病気です。
特にお口の機能が弱りがちな高齢者で発症しやすく、その中でも歯周病の患者様はさらにリスクが高くなります。
高齢者の肺炎のうち、約7割程度は誤えん性肺炎といわれており、その割合も非常に高くなっています。
避難生活では、歯や舌・入れ歯を含めた十分な口腔ケアができないうえに、お口の中も乾燥しがちになるため、菌の繁殖が進みます。
そのうえ栄養不足やストレスから来る免疫力の低下も考えられますので、十分に対策することが必要です。
③しっかり噛めないことによる栄養不足を防ぐ
災害時にはストレスや不安が増す中で、栄養摂取が非常に重要になります。
しかし、ケアが十分にできずお口の中の状態が悪化すると、食事をしっかりと噛むことが難しくなり、食事に支障をきたすことがあります。
長引く避難生活により歯や歯茎の健康が損なわれてしまうと、固い食べ物や繊維質の多い食べ物を避けるようになり、結果としてバランスの悪い食生活になりがちです。
栄養が偏ると体力が落ち、災害時の回復力にも影響します。
そのため、災害時でも適切な口腔ケアを行うことで、お口の健康と噛む力を維持し、栄養バランスの良い食事を摂ることができ、体力を維持することが可能になります。
このように、口腔ケアは「お口の問題」だけにとどまらず、「全身の健康」を守るために非常に重要な役割を担っています。
2,水が使えないときにできる口腔ケアの方法
災害直後は、思うように水が使えない状況が続くことも少なくありません。
それでも、できる範囲でお口の中を清潔に保つことが大切です。

①水が確保できないとき
・ガーゼやタオルで拭く
歯ブラシが使えない場合は、清潔なガーゼやタオルで歯や歯茎を拭き取ります。
・唾液の分泌をうながす
唾液には自然の洗浄作用があります。
ガムを噛んだり、唾液マッサージをしたりして、唾液分泌を促しましょう。
・マウスウオッシュを使用する
歯に付着した汚れをすべて落とすことはできませんが、お口の中の細菌を減らすことで虫歯・歯周病のリスクが低減します。
・入れ歯やマウスピースのケア
装置にも菌が繁殖してしまいます。
ウェットティッシュや清潔な布などで汚れをふき取りましょう。
3,水が少し使えるときに意識したいケアのコツ
・食後は水でうがいをする
食後、お口の中に食べかすが残っていると虫歯になりやすいです。
歯ブラシをもっていない場合でも、少量の水が確保できる場合は、毎食後にできるだけお口をすすぐことが重要です。
たった一口分の水であっても、口の中に残った食べかすや糖分を減らす効果があります。
・少ない水でも歯磨きはできる
歯ブラシを利用することができる場合は、ブラッシングケアをおこないましょう。
災害時に貴重な水は、コップ一杯ほどあれば歯磨きを行うことができます。
さらに可能であれば、フッ素入りの歯磨き粉を使用することで、虫歯予防に役立ちます。
うがいが難しい場合は、歯磨き粉をつけたまま軽く拭き取る方法でも対応できます。
貴重な水を無理に大量に使わず、「少量でできるケア」を意識することがポイントです。
4,防災グッズとしてぜひ備えておきたい口腔ケア用品

防災グッズに入れておきたい「必要なもの」の中に、ぜひ口腔ケア用品も加えてください。
・歯ブラシ
歯ブラシは緊急時にすぐに使えるよう、必ず非常用キットに入れておきましょう。
・マウスウオッシュやパウダー
水が使えない環境では、お口のケアの補助的役割を果たします。
・ガムやタブレット
唾液の分泌を促進し、口腔内の洗浄を助けます。
ガムを選ぶ際、キシリトールのものを選んでおくと虫歯対策にもつながります。
・フッ素配合の歯磨き粉
虫歯予防のために、歯ブラシと合わせて準備しておくと安心です。
・口腔ケアシート
簡単に歯や歯茎を拭けるシートを用意しておくと、水がない環境でも手軽にケアができます。
・入れ歯ケース、洗浄剤
義歯を使用している方は特に重要です。
これらは一つひとつが小さい物ですが、「あるか、ないか」で避難生活中の快適さと健康状態が大きく変わってきます。
5,防災対策として、今できる歯科的な備えも重要です
災害対策というと、非常用袋を準備することが中心になりがちですが、実は「災害が起こる前の口腔環境づくり」も非常に大切です。
避難生活が始まってから歯が痛くなったり、入れ歯が合わなくなったりしても、すぐに歯科医院を受診できるとは限りません。
だからこそ、普段から定期的に歯科検診を受け、虫歯や歯周病を未然に防ぎ、トラブルを抱えにくいお口の状態を整えておくことが、立派な防災対策になります。
増田歯科・矯正歯科では、定期検診やプロによるクリーニングに加え、患者さま一人ひとりの生活背景に合わせたセルフケア指導にも力を入れています。
「私に合うケアグッズは?」「今のお口の状態で気をつけるべきことは何?」など、お気軽にご相談ください。
~まとめ~
防災グッズとして必要なものは数多くありますが、口腔ケア用品はつい後回しになりがちです。
しかし、災害時にお口の健康を守ることは、体全体の健康を守ることにも直結します。
上記のような知識やグッズをそろえておくだけではなく、「普段からの検診・ケア」も防災対策の1つです。
生活状況の変化が起きると、歯医者さんが受診できない状況になることも考えられます。
定期的に歯医者さんに来院して検診とプロケアを受けて健康なお口を維持しておきましょう。
この機会に、防災対策の一つとして、ぜひ一度、ご自身やご家族のお口の状態も見直してみてくださいね。

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【監修】
歯科医師/医療法人健誠会 増田歯科・矯正歯科 理事長・院長
大阪市北区・南森町で歯科医療に従事し、成人矯正・小児矯正・インプラント・審美歯科・予防歯科まで幅広く対応。インビザラインプラチナプロバイダーとしての豊富な症例実績をもち、国際口腔インプラント学会認定医や咬み合わせ認定医として専門性の高い診療を行っています。